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最終更新日2024年11月23日

ハステロイとは?種類や用途、メリット・デメリットについても紹介

ハステロイとは?

ハステロイ(Hastelloy)とは


ハステロイ(Hastelloy)とは、ニッケルを主成分とした合金の一種で、アメリカのへインズ社(Haynes International,Inc)が商標登録をしています。そのため、ハステロイは材質の一種ではなく、合金のブランドの内の一つといえます。
 
優れた耐食性・耐熱性・析出硬化型合金であるなど、ステンレスやチタン以上に高性能であることが特徴です。
ハステロイは、耐食性・耐熱性を向上させるために、モリブデンやクロムを加えて作られており、有する成分量によって、ハステロイBやハステロイCなどの種類に分けられています。
 
また、析出硬化型合金(硬度が高い)であるという性質があるために、加工が難しい難削材で、熟練した技術が必要です。
そんなハステロイについて、メリットやデメリットとあわせて、間違われやすいインコネルとの違いと種類についても紹介していきます。
 

Image Description

インコネルとの違い

インコネル(Inconel)は、難削性の高い材料で、クロムやモリブデンなどを含んだニッケル超合金です。耐食性・耐熱性・耐酸化性・高温強度の高さ・耐クリープ性といった特徴を持ちます。
難削性の高さ・クロムやモリブデンなどを含んだニッケル超合金・耐食性・耐熱性という部分が共通しているため、ハステロイと間違われることの多い材料です。
 
インコネルとハステロイの違いは、特化している部分です。共通している部分が多い2つの材料ですが、インコネルは高温環境下での強度とクリープ強度に、ハステロイは耐食性に特化しています。インコネル自体も高い耐食性を持ちますが、耐食性においてはハステロイの方が高性能です。
 
一見すると同じように思える素材ですが、インコネルとハステロイにはそれぞれ違った特徴があるので、使用目的に合わせて使い分けられています。
 

項目インコネルハステロイ
主な成分ニッケル、クロム、モリブデンなどニッケル、モリブデン、クロム、鉄など
耐食性高い耐食性を持つが、ハステロイよりは劣る非常に高い耐食性を持つ
耐熱性非常に高い耐熱性を持ち、高温環境での使用に適する耐熱性はあるが、インコネルほど特化していない
クリープ強度高温環境下で優れたクリープ強度を発揮クリープ強度はインコネルほど高くない
使用用途高温環境下の機械部品、ジェットエンジン、ガスタービンなど化学プロセス機器、酸や塩基に耐える必要のある環境
特徴高温強度とクリープ強度に特化している耐食性に特化している

ハステロイのメリット

ハステロイは、加える金属の種類や含有量によって特性が変わってきます。以下よりメリットについて詳しく見ていきましょう。
 

1.耐食性

ハステロイそのものが腐食に強く、防止のためのメッキ加工や塗装が必要がないため、「耐食性合金」とも呼ばれています。酸性と還元性の両方の酸に耐性があり、海水中などでも耐食耐性を発揮するなど、多様な腐食環境にも耐えることができます。
 

2.耐熱性

ハステロイは、高温下でも機械的強度に影響を受けることがなく、耐熱性に優れていると言えます。通常、高温になるほど金属の強度は下がりますが、ハステロイの種類によっては、耐熱温度が約1100℃に達するものもあります。
 

3.析出硬化型合金である

析出硬化型合金とは、合金中に固体の内部で起こる分散粒子によって、組織や構造の異なる新しい相が形成され、素材の強度が向上することをいいます。ハステロイも析出型合金なため、硬度の高さがメリットです。
 

4.鍛造性や溶接性が良い

ハステロイは、削って加工することには不向きの材料ですが、鍛造加工や溶接加工がしやすい側面を持っています。鍛造加工とは、金属を叩いて圧力を加えることで、材料内部のすき間を埋めて強度を上げていく加工方法です。
 
また、溶接加工も切断や削るのではなく、溶かして加工をする方法なため、加工が困難とされるハステロイでも、加工しやすい方法といえます。
 

5.チタンを上回る高性能さ

耐食性と耐熱性に優れた材料として知られているのが、チタンです。ハステロイは、チタンを上回る性能を持っているのが特徴です。
特に、極端な温度変化や高圧力、科学的に攻撃的な環境下など、過酷な条件下であっても、性能を維持することができます。
 
チタンでさえ対応できないような過酷な条件下であっても、用途に対応することが可能なため、多くの工業分野でハステロイは活躍している材料です。
 

Image Description

ハステロイのデメリット


画期的な金属であるように思えるハステロイですが、メリットだけでなくデメリットな側面もあります。
 

1.コストがかかってしまう

優れた性質を発揮するために、高コストなニッケルやモリブデンを多く含んでいるため、ステンレス鋼などに比べると、数倍の価格となってしまいます。
 

2.加工が難しい

ハステロイは、その硬度の高さから被削性が悪く、加工硬化の性質もあるため、仕上げるまでに時間がかかってしまいます。また、熱伝導率も悪く、発熱をしてしまうため、工具の寿命も短くなってしまいます。
 

ハステロイの種類と用途


ハステロイは、ニッケルやモリブデンなどの化合物の成分量により、種類と用途が分かれています。
 

ハステロイC

溶接に対する問題を軽減することを目的として、最初に開発されたハステロイC276やクロムの含有量が高いC22などがあり、多種多様な化学物質による耐腐食性に優れているのが特徴です。化学工業の分野や廃棄物処理施設、製紙工業に焼却プラントなど、多くの腐食媒体に接触する分野で多く用いられてます。
 

ハステロイB

ハステロイB-2やB-3などがあり、塩酸や臭化水素酸、硫酸に特に強いのが特徴です。こちらも化学工業の機器や設備に多く使用されています。
 

ハステロイX

ハステロイXは、耐食性や耐熱性、また加工性などの優れた特性をバランスよく備えた合金です。高温下で長時間熱した後でも性質に影響が出にくいのが特徴です。主に高温に曝される航空機や工業用のガスタービンエンジンの部品や、排気構成部品に多く用いられていますが、幅広い分野で使用することができます。

種類特徴主な用途
ハステロイC耐腐食性に優れ、溶接に対する問題を軽減する目的で開発された。クロム含有量が高いC22やハステロイC276などの種類がある。化学工業、廃棄物処理施設、製紙工業、焼却プラントなど腐食媒体に接触する分野。
ハステロイB塩酸や臭化水素酸、硫酸に対する耐性が非常に高い。ハステロイB-2やB-3などが含まれる。化学工業の機器や設備。
ハステロイX耐食性、耐熱性、加工性に優れたバランスの良い合金。高温下での長時間の使用でも性質に影響が出にくい。航空機や工業用ガスタービンエンジンの部品、排気構成部品など高温に曝される環境。また、その他の幅広い分野で使用される。


 

くればぁで取り扱っているハステロイ金網メッシュ規格表 200~10メッシュ 77~1970μ

材質メッシュ数線径目開き開口率購入
C-276 200/190 0.05 0.077/0.084 39.2 1016
C-22平織 100 0.1 0.154 36.8 1220



C-276平織 60 0.15 0.273 41.7 1000



600.120.30351.31000



B 45 0.25 0.314 31.0 1000
C-22平織 40 0.23 0.405 40.7 1000



400.20.43546.91000



C-22 30 0.19 0.657 60.2 1000
C-22平織 20 0.3 0.970 58.3 1000



C-22平織 18 0.5 0.911 41.7 1000



C-276100.81.74046.91000
C-27600.571.97060.21000

まとめ

ハステロイ材は非常に優れた特徴を持つものの、加工が難しいいわゆる難切削材としても知られています。圧力計のダイヤフラムなどの耐食性が求められる場合やジェットエンジンの燃焼室などの耐熱性が求められるものに使用されるケースが多いです。

くればぁで取り扱っているハステロイ金網メッシュ

くればぁでは、ハステロイ金網メッシュも取り扱っております。
まずは、一度ご相談ください。

また、「使用用途は決まっているけど、どの素材を選んだら良いかわからない」といった方には、ぜひフローチャートをご活用ください。

▼▼フローチャート▼▼

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くればぁ編集部

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