最終更新日2023年4月14日
濾布とは、液体または気体に混ざっている固体の混合物を分離する濾過操作において使用される濾材の布のことを指します。濾材には種類が多く存在しますが、私たちの身近なものでいうと、紙製の濾紙でできたコーヒーフィルターがイメージしやすいかと思われます。濾布には、木綿や羊毛、合成繊維あるいはガラス繊維など、対象によって様々な材質が使い分けられています。また、湿式用(濾過)と乾式用(集塵)など、使用環境によっても使い分けがされています。
濾布は「ろふ」と読みます。難しい漢字で見慣れない文字ですね。
濾布は主に製造業で多く使用されています。しかし、使われるシチュエーションはさまざまです。例を挙げるとすると、まずは製品を製造する過程で使用する場合です。日本酒を造る際の醪(もろみ)を搾る過程で濾布を使用している場面をみたことがある方はいらっしゃるのではないでしょうか。そしてもう1つの例としては、製造を終えた際の処理に使用する場合です。排水などを処理する前に濾布を使用することで、有害物質などを取り除くことができます。どのようなシチュエーションで使用するのか考慮したうえで、最適な濾布が変わってくるので、注意が必要なのです。
前述にもあるように、濾布は様々なシチュエーションで使われており、それぞれに適した物を選ぶことで、効率よくろ過を行うことができます。どのようなポイントに注目をすれば良いのか、3つの要素をご紹介したいと思います。
まず1つ目は「通気性」です。ろ液の通り抜けやすさは、1秒間に1cm平方メートルの面積を通り抜ける体積を表す、「通気度」で表記されます。通気度が高いほど濾布の目が粗く、低いほど濾布の目が細かくなります。
2つ目は、濾布を構成する糸の形状です。以下に主に使われている形状の特徴をまとめます。
形状 | モノフィラメント | マルチフィラメント | スパン |
粒子捕捉能力 | 悪い | 普通 | 良い |
剥離性 | 良い | 普通 | 悪い |
目詰まり耐性 | 良い | 普通 | 悪い |
・モノフィラメント(単繊維):糸が最も滑らかで、目詰まりをしにくい特徴があります。
・マルチフィラメント(長繊維):短繊維よりも強度が優れており、目詰まりをしにくい特徴があります。
・スパン(短繊維、紡績糸):糸自体に毛羽立ちがあり、微粒子を捕集しやすい特徴があります。
形状 | 平織 | 綾織 | 朱子織 |
粒子捕捉能力 | 良い | 普通 | 悪い |
剥離性 | 悪い | 普通 | 良い |
目詰まり耐性 | 悪い | 普通 | 良い |
・平織(Plain):高圧用の濾布によく使用されています。布目が詰まっているのが特徴です。
・綾織(Twill):汎用性のある織り方であり、地厚かつ高密度に仕上げることが可能な織り方です。
・朱子織(Satin):集塵機でよく使用され、高密度に仕上げることができる織り方です。
濾布に用いる素材を変えることで耐久性などの性能が上がるだけでなく、コストパフォーマンスを良くするという効果もあります。ここではよく用いられる素材の特徴をみていきたいと思います。
・ポリエステル:最も広く使用されている素材であり、耐熱性が高い、吸湿性が低いという特徴があります。80℃を超えてしまうと、加水分解を起こすという点については注意をする必要があります。
・ポリプロピレン:耐薬品性に優れており、酸やアルカリにも強いのが特徴です。耐熱性がやや低いというデメリットがあります。
・ナイロン:アルカリや摩擦に耐性があるので、摩耗性の強いダクトによく使用されています。酸に弱いというデメリットに注意が必要です。
・芳香族ポリアミド:耐熱性に優れているので、こちらも多く流通しています。酸に触れると溶解してしまうのですが、耐酸加工を施すことができるという点もメリットではないでしょうか。
濾布は消耗品ではありますが、適切なものを選ぶことで、濾布の寿命を延ばすことができます。ここでは寿命を迎えてしまう主な原因をご紹介いたします。
1つめの原因は、濾布が破れてしまったりする破損です。破損してしまうと修復は非常に困難なので、交換をする必要があります。濾布を固定する際の強度や設計によってできるだけ負担を減らすようにしましょう。
糸の隙間に粒子が入り込んでしまい、洗浄だけでは取り除くことができなくなってしまった状態です。濾布の様子を注意深く観察し、温度の低下や油分の付着を防ぐようにしましょう。
素材に応じて、パフォーマンスが異なる濾布は、主に濾過をする際に活躍しています。思いもよらない場所で使用されているケースもあるかもしれませんね。
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