最終更新日2023年4月7日
ポリアミド(PA)とは、アミド結合によってモノマーが連なっている線状の高分子の総称です。一般的にはナイロンと呼ばれることが多く、80年以上前から衣類や産業で使用されている、歴史ある樹脂です。
ポリアミド樹脂は、「蜘蛛の糸より細く、絹より美しく、鋼鉄よりも強い」と呼ばれるほどメリットが多く、その特性から、エンジニアリングプラスチックに分類され、過酷な状況下でも使用することができます。そのため、市場規模はポリカーポネート(PC)とも並ぶといわれています。
ポリアミドは、一般的にナイロンと呼ばれており、同じものには間違いありません。正確にはナイロンはアメリカのデュポン社の商品名(商標)であり、ポリアミド樹脂の一種なのです。
ポリアミドはナイロンとアラミドに分類することができるので、具体的な違いについて紹介していきましょう。
一般的に脂肪族骨格を含むポリアミドのことをナイロンと呼びます。デュポン社が初めて発売した「ナイロン6.6」が代表的な種類であり、非常に優れた強度と耐熱性が特徴です。さらには、様々な種類のアミドを重合することで、「ナイロン11」や「ナイロン12」、「ナイロン46」など、より耐熱性や強度に優れたナイロンを生成することが可能なのです。
アラミドとは、芳香族骨格だけで構成されるポリアミド樹脂のことを指します。ナイロンよりも強度が高く、耐熱性も優れているのが特徴です。
ナイロン6.6の融点は265℃、アラミドの融点は320℃と非常に耐熱性に優れているのが特徴です。
金属の代替品にも用いられるほどの強度があり、他の樹脂やプラスチックよりも強度に優れています。
表面が硬いため、耐摩耗性に優れています。ナイロンの耐性は、綿の10倍とも言われており、衣料用繊維として代表的な素材となった要因でもあります。
引っ張り強度や靱性に優れており、特にアラミドは鋼鉄の5倍とも言われております。「蜘蛛の糸より細く、絹より美しく、鋼鉄よりも強い」と呼ばれるようになったのも、この特性が所以でしょう。
ポリアミド樹脂は、その特性の豊富さから、様々な分野で採用されています。
ポリアミド樹脂は、自動車部品の製造において幅広く活用されています。その耐熱性、耐摩耗性、化学耐性の高さから、エンジン部品や燃料タンクなどに使われています。また、軽量化が求められる部分では、金属部品に代わる素材としても注目されています。
電子機器の構成要素として、ポリアミド樹脂は基板やコネクタ、ケーブル類に用いられています。絶縁性や耐熱性の高さが評価されており、機能性と安全性を兼ね備えた素材として重宝されています。
繊維製品においては、ポリアミド樹脂がナイロン繊維の主成分として利用されています。耐摩耗性や弾力性が特徴であり、衣類やカーペット、ロープなどに幅広く使用されています。
建築や建設業界においては、ポリアミド樹脂が断熱材や防水シート、配管などに使用されています。環境に優しい素材であり、長期間の耐久性が期待されています。
医療分野では、ポリアミド樹脂が手術器具やプロテーゼ、カテーテルなどに使われています。生体適合性が高く、高い耐久性が求められる用途に適しています。
ナイロンは前述にもあるように、衣類で多く用いられているほか、自動車業界ではエンジンカバーからアクセルペダル、シートベルトなどのあらゆる部品に、また歯ブラシや食品用フィルムにも使用されています。さらに耐寒衝撃性に優れたナイロン11やナイロン12は宇宙服や航空機のエンジンなどにも採用されています。
アラミドは、その強度や耐熱性から、防弾チョッキやヘルメット、消防服などより性能を求める場面で使用されています。