最終更新日2024年11月23日
アルミニウムは、非鉄金属の中では最もメジャーな材料ともいえます。
軽量かつ強度もあり、リサイクル性にも優れているため、私たちの身の回りの様々なものに使われています。
アルミニウムの歴史は浅く、発見されてからまだ200年ほどしか経過していません。発見が遅れた理由としては、アルミニウムは様々な化合物として鉱物や土壌に存在しているため、天然の金属としては産出されず、発見することが困難だったのです。
そんな中、1807年にイギリスの電気化学者、ハンフリー・デービーが明ばん石を電気化学的な方法により分離することで、金属アルミニウムの存在を確認し、アルミアムと命名しました。
その後1825年にデンマークの物理学者、エルステッドが塩化アルミニウムから金属アルミニウムを取り出すことに成功することで、アルミニウムの工業化への道を開きました。
アルミニウムには多くのメリットがあるため、様々な用途で用いられています。
ここでは、そのメリットをご紹介したいと思います。
アルミニウムの最も特徴的なメリットが軽さです。アルミニウムの比重は2.7と鉄や銅と比べて3分の1程度であり、とても利用しやすい金属です。この軽さを活かし、自動車や航空機、新幹線、船舶などの輸送分野での燃費向上に貢献しています。実際、航空機の軽量化を目的としたアルミニウムの開発がきっかけで、アルミニウムの工業化が進歩したのです。
純粋なアルミニウムではそれほど強度はありませんが、他の金属を添加して合金化することで、強いアルミニウムになります。特に、亜鉛とマグネシウムを加えたジュラルミン系と呼ばれる品種は特に強度に優れており、航空機や大型構造物用の材料として活躍しています。
柔らかく、展性も高いので、加工しやすいというのもメリットです。アルミホイルのような薄い箔から複雑な形の成形まで可能なため、幅広い分野で用いることができるのです。
アルミニウムの熱伝導率は鉄の約3倍と、熱を伝えやすいため、自動車のラジエーターや、電子機器の放熱器などに使用されています。
導電性は銅に比べると約60%と劣りますが、比重が軽いので、銅の約半分の量で同量の電気を通すことができます。高電圧の送電線の約99%がこの特性を利用し、アルミニウムが採用されています。
アルミニウムは大気中で自然に酸化被膜を作ります。この被膜が酸素と水分の結合を遮断するため、非常に優れた耐食性を備えています。この耐食性のおかげで、海洋開発や船舶など、潮風に晒される環境でも使用することができます。
アルミニウムは食品類と反応せず、人体を害したり、土壌を汚染することもなく、衛生的な金属です。そのため、食品包装や医療機器などの分野で活躍をしています。
アルミニウムは磁性を帯びることがありません。金や銀も非磁性体ではありますが、他の金属に比べると安価なので、パラボラアンテナや医療機器、超伝導関連製品などに利用されています。
アルミニウムは赤外線や紫外線などの光や熱をよく反射します。純度を上げたり鏡面加工を施すことで、より反射率を上げることができます。この特性を用いることで、暖房器具や照明器具などの家電製品から宇宙服にまで利用することができます。
劣化のしにくさ、融点の低さのおかげで、新たにアルミニウムを精錬する場合と比べ、約3%のエネルギーでリサイクルすることができます。それだけではなく、リサイクル品の質は新品と変わらないクォリティーを保つことができます。
純粋なアルミニウムでは強度が低いため、多くの場合が他の金属を添加することで
合金にしています。最終的な使用用途に合わせ、鉄やマグネシウム、銅などを加えています。ここでは代表的なものについてご紹介いたします。
1000番台表示のアルミニウムは、純度99.90%以上の純アルミニウムを指します。純度が高いため、熱伝導性や加工性、耐食性などには優れていますが、強度が低いという欠点があります。不純物が少ないので、製品や設備のカバーや装飾に用いられています。
2000系では、主にジュラルミンと呼ばれる合金が代表的なものとして挙げられます。銅を添加することで、耐食性は劣りますが、強度が高くなっています。ジュラルミンは鋼材にも匹敵する強度を持ち、航空機や自動車部品などに使用されています。
5000番台の表示は、マグネシウムを添加し、強度と耐食性を向上させたアルミニウムです。マグネシウムの添加量に応じて、装飾用から構造材と幅広く使用することができ、合金の種類が多いのが特徴です。
6000番台の表示は、マグネシウムとシリコンを添加することで、強度、耐食性、加工性を高めた合金です。特に押し出し加工性に優れているので、構造材に使用されることが多いです。
7000番台は亜鉛とマグネシウムを添加した合金であり、熱処理を加えることでアルミ合金の中で最高強度の合金となります。代表的な品種は超々ジュラルミンと呼ばれ、高価ではありますが、その強度や加工性を求め、航空機用材料として使用されています。
シリーズ | 特徴 | 使用例 |
---|---|---|
1000系 | 純度99.90%以上の純アルミニウム。熱伝導性、加工性、耐食性に優れるが強度は低い。 | 製品や設備のカバー、装飾用部品など |
2000系 | 銅を添加したジュラルミン。強度は高いが耐食性は劣る。鋼材に匹敵する強度を持つ。 | 航空機、自動車部品など |
5000系 | マグネシウムを添加し、強度と耐食性を向上させた合金。幅広い種類があり、装飾から構造材まで使用可能。 | 装飾部品、構造材など |
6000系 | マグネシウムとシリコンを添加し、強度、耐食性、加工性に優れる。特に押し出し加工性に優れている。 | 構造材、フレームなど |
7000系 | 亜鉛とマグネシウムを添加した合金。熱処理で最高強度を持つ。超々ジュラルミンが代表的。 | 航空機用材料など |
アルミニウムは、用途に応じて他の金属を添加することで性能を調整した合金が使用されます。代表的な1000系から7000系まで、それぞれのシリーズごとに特定の特徴と使用例があり、目的に応じた選択が重要です。
ここまでメリットや代表的な特徴をあげてきたように、アルミニウムは幅広い分野に渡って利用されています。それに伴い、消費量は全世界で伸びており、他の非鉄金属と比べても
その伸び幅は大きく開いてきています。どうしてアルミニウムの需要が世界的に増えているのか、代表的なものを2つ挙げていきたいと思います。
車体の大部分が鉄で作られていますが、アルミニウムを代用することで、CO2を大幅に削減することができるという点で注目されています。製造段階で再生アルミニウムを使用することで、製造の際に排出されるCO2を削減することができます。また、車体が軽量化できるため、燃費も向上することで、さらにCO2の排出を抑えることができます。
アルミニウムのメリットの1つでもある「リサイクルのしやすさ」が注目されています。他の飲料容器に比べ、リサイクルにかかるコストが圧倒的に安価なのです。さらに、アルミニウムで作られた容器は、使用後の回収・廃棄までにかかるエネルギー量が少なく、経済性・省エネの両方の観点から生産量が増えてきています。
くればぁでは丸抜き、寸法切りなどご希望のサイズに合わせてカットすることも可能です。お気軽にご相談ください。
お問い合わせについてはこちら▼
アルミについてはこちら▼