最終更新日2024年9月2日
ステンレスとは、英語では「Stainless Steel」と表記され、「ステンレス鋼」というのが日本での正式名称となります。Stainlessとは「錆びない」という意味であり、すぐに錆びやすい鉄の代わりに発明されました。
ステンレスとは、英語では「Stainless Steel」と表記され、直訳すると錆びない銅という意味を持ちます。日本では「ステンレス鋼」と呼ばれており、すぐに錆びやすい鉄のに代わる金属として発明されました。
発明されてから100年程度と、比較的新しい金属で、耐食性や強度を向上させるために主成分の鉄(Fe)にクロム(Cr)やニッケル(Ni)が混ぜて作られる「合金」になります。添加する元素の量によって、性質を変えられるのが特徴です。
そのことから、食器や家電など身近なものから、航空機材や医療器具など専門分野まで幅広く使用されています。
ステンレス鋼は、国際規格のISO規格にて、主成分の鉄(Fe)の他、炭素を1.2%以下、クロムを10.5%以上含む合金鋼と定められています。
ステンレスと鉄の大きな違いは金属の分類上の違いです。そもそも私たちが普段イメージする鉄だと思っている金属とは、分類上はステンレスと同じ「鋼」なのです。
純度100%の鉄は、炭素が多く含まれているため硬度には優れていますが、その反面、強度が低い・脆いという特性があります。そのため、普段私たちが使用している鉄は、炭素や不純物を取り除く工程を経ているため、分類上は鋼とされています。
冒頭でも述べたとおり、ステンレスは名前の通り錆びにくい金属です。では、なぜ錆びにくいのか見てみましょう。
一般的に錆とは、鉄が空気中の酸素や水分と化学反応を起こし腐食した際に、溶けだした鉄と酸素や水分が結びついたものが錆です。腐食した表面を放置すると、内部までどんどん進行し、穴が開くこともあります。
ステンレスに含まれているクロムは鉄より酸素と結びつきやすいという性質を持っています。そのため、鉄が酸化するより早くクロムが酸化することで、不動態被膜といわれる膜が表面に形成され、この膜が錆の進行を防いでいます。その為、ステンレスは錆に強い金属なのです。
ステンレスの最大の特徴である錆に強い(耐食性)について述べてきましたが、その他のステンレスのメリットについてみていきましょう。
ステンレスは熱伝導率が低く、500℃程度までは性質に影響が出ないとされています。そのため、水筒やポットなどの内壁に使用されています。
ステンレスは鉄に炭素を加えているため、一般的に強度が高い性質があります。生成方法によっても変わりますので、詳しくは、代表的なステンレスの種類ごとに後述したいと思います。
熱伝導率が低く、放熱性が低いため保温性に優れています。そのため、水筒やポットの内壁などによく使用されています。
鉄やアルミニウムなどの他の金属素材と比べると、抵抗力が高いため、電気を通しにくい性質を持ちます。誘導体ではありますが、ステンレスが通電箇所に使用されることはほぼありません。
ステンレスの最大の特徴である錆びにくいことから、水に触れる場所でも光沢のある美しさを保ちやすいため、清潔に使用することができます。このことから、食器や調理器具、シンクに食品の生産設備などでステンレス素材が採用されています。
ここからはステンレスのデメリットについてもみていきます。
ステンレスは条件によっては錆びてしまう場合もあります。強い酸やアルカリにさらされたり、湿度が高いと腐食してしまう場合があります。また、不動態被膜の上に鉄成分が付着し錆びたように見える、もらい錆びが発生してしまう場合もあります。
ステンレスは、曲げ加工を行うとかなり硬くなります。そのため、一度加工してしまうと、再加工を行うのが難しく、失敗が許されません。
メリットとして耐熱性を挙げましたが、その反面、放熱性には劣ります。そのため、熱を持ちやすいエンジンパーツなどの使用には向いていません。また、加工を行う際に発生する熱も逃げにくいため、工具の刃先に負担がかかり、工具寿命が短くなってしまいます。
他の金属と摺動(しゅうどう)する場合、滑りにくい性質を持ちます。鋼板同士の場合と比較すると、鋼板とステンレスでは2倍の摺動抵抗に。バネの付勢力が不足して機構が成立しないケースもあるので、ステンレスを他の金属と摺動させる場合は、摩擦係数の高さに注意をしましょう。
ステンレス製のネジを電動ドライバーで締め込むと、雌ネジと雄ネジが密着をして、2度と緩まなくなってしまうことがあります。メンテナンス時にネジを外すことができなくなるので、コーティングや締め付けトルクの適切な管理、電動ドライバーを使用しないなど、回避策が必要です。
ステンレス鋼は合金の比率などによって、様々な種類に分けることができます。ここでは代表的なものを紹介したいと思います。
マルテンサイト系はニッケルを含まず、クロムと炭素を主な成分としてます。熱処理によって、マルテンサイトという組織が形成され、硬度が高いステンレス鋼が生成されます。炭素が少ないため、耐食性には劣りますが、硬度が求められ、高温での使用が求められる場所で用いられます。
フェライト系は、ニッケルを含まず、クロムを主成分としたステンレス鋼です。熱処理を施しても硬化が少なく、軟質を維持することが可能という性質があります。加工性が高いため、ガスや電気など多くの分野で使われています。
オーステナイト系は他の2種と異なり、クロムとニッケルを主成分とする唯一のクロムニッケル系のステンレス鋼です。クロムとニッケルの2つの成分が添加されることで、不動態被膜の密着力が上がるため、他のステンレス鋼に比べ、耐食性に強いという性質があります。
熱による硬化性が無いため、硬度は他の種類には劣りますが、軟質性や溶接性が優れているため、多くの分野で利用されています。ステンレス鋼の生産量の約6割を、オーステナイト系が占めています。
二相系とは、フェライト系とオーステナイト系を掛け合わせたものであり、それぞれの金属組織を混在させたステンレス鋼です。特徴としては、耐食性と強度に優れています。
オーステナイト系は熱処理によって強度を高めることができませんが、これをできるように改良したものが析出硬化系です。耐食性、硬度、耐熱性に優れており、航空機分野や宇宙開発で用いられています。
錆びに強く、熱伝導率が低いステンレスは、私たちの身近な部分で多く活用されています。一方で放熱性には優れておらず、加工をする際にも再加工が難しくシビアな素材といえるでしょう。
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